PierrotsJumeaux010jp

8. フェアリーランド

8 – 1    ティニーと妖精たち

白百合*が美しく咲き乱れ、桜の花も満開である。
一人の可愛らしい女の子が桜吹雪の下に寝転がっている。
「私の名前はティニーというの。桜の精よ。」 と女の子が自己紹介する。
「こんにちは
「こんにちは
「こんにちは ここはフェアリーランドの入り口です。 お会いできて嬉しい。」
眩しい笑顔で
ティニーが答える。

*フランス王家の紋章

「私の名前はTigny ティニー。  桜の精。」

「私の名前はUmé ウメ。  梅の精。」

「私の名前はPoing ポワン。  こぶしの精。」

「私の名前はRén レン。  木蓮の精。」

「私の名前はSumiré スミレ。  すみれの精。」

「私の名前はDent-de-lion ダンディ・ライオン。  蒲公英の精。」

「私の名前はBon-Bori ボンボリ。  クローバーの精。」

「私の名前はKouign amann クイニーアマン。  マーガレットの精。」

「私の名前はMorning-Bell モーニングベル。  アサガオの精。」

「私の名前はBisca ビスカ。  ハイビスカスの精。」

「私の名前はWhite-Lily ホワイト・リリィ。  白ユリの精。」

「私の名前はGolden-Lily ゴールデン・リリィ。  山ユリの精。」

「私の名前はMan-Ma マンマ。  赤まんまの精。」

「私の名前はKaédé カエデ。  楓の精。」

「私の名前はCamélia カメリア。  山茶花の精。」

鳥たちが一斉に大合唱する。
「思い起こしてごらん、雨が降っても必ず晴れるものだと。」

こうやってふたりは、次々と季節の15人の花の妖精たちと仲良くなった。
季節の花々たちと楽しい時を過ごし、時間が過ぎるのもすっかり忘れてしまった。
「今のこの時を生きるのです。」 花の妖精たちはみな歌う。
ソレール と リュネールは花の妖精たちと楽しく遊び、もう父上のことは考えなくなった。
ふたりが決して中へ入ることができなかったシャトーを時折、
見上げることはあったけれど。
入れないのは何故だろう・・・・・なぜ?

 


あかねさす 昼の光は たてがみに
ぶしくて 誇らしげな 獅子(レオン)さえ
□□□□□眠りを 誘われる

夕暮れを 支配する 巨人たちと
暁を 語りあう 夢を みながら
□□□□□眠る人がいる


やがて
襲ってくる 冬の備えに 今日も 
忙しい ロッキーの ナキウサギが 
ふと サマー・インディアンの 青空を 
みあげて つぶやく
     会って聞きたい 大事なことも 
□□..あるけれど 
□□..会って 確かめたい 約束も
 
□□..あるけれど
諦めても 
諦めても 忘れられない  
呼んでも  呼んでも 答えてくれない 
君と 出会った まだ 眠たげな 
春の陽         まだ 何も
書かれていない 白い ページを 
懐かしむように 君を 想う 
□□□□.君の瞳を 思い出させる 
いちばん星に 西の空で 出会うたび

8 – 2    別離(わかれ)

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半ば夢の中で
「私の可愛い子たち、お別れを言わなければならない時が来た。」
「お? わ? か? れ? 何を言っているの?」
ソレールが尋ねる。
「お別れ? なぜ?」
リュネールが尋ねる。
「重い病気だ。 お別れの時だ。」
「お別れだなんて言わないで、お願いだから。」
ソレールが哀願する。
「あなたがいなかったら、春が泣く。
もう一度だけ歌わせて、春の小川で歌ったあの歌を。」
リュネールがせがむ。
「私のこの時計を残すよ。  もう時間を刻むことがない。」
リストワール
が言う。
「偉いあなたが、僕たちの父上だったの?」
ソレールがきっぱりと
大事な質問をする
「あぁ、そうだよ……やっと来たか。ふたりそろって…..」
そう言い残すと、国王リストワールは姿を消した。

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不確かな 記憶の底で 
□□□□確かに ゆらめく
□□□□あたたかな 春の陽ざし 
みうしなった 時間(とき)の彼方に 
□□□□
静かに きらめく 
□□□□とりもどせない 春の微笑(ほほえみ) 

春の雨を 浴びて ひとり ヒマラヤを行く 
さびしげな白い眼をした タイガー・ベガを      
□□□□□□..君は みたのだろうか

8 – 3    リストワール

「ずっと昔、僕達はサーカスで少年を見かけた。
この悪戯っ子にジュネスという名前を付けた。
もうずっと前からの知り合いだよ。」 
とソレールが説明する。
「その少年を追いかけているうちに気がついたら、
ここで15人の花の妖精たちと出会った。」 
とリュネールが続ける。
「夢の中で父上が言った。私の子たちよ、
私の王国ネヴァーランドの城に会いに来なさい。」 
とソレールが説明する。
「そういうわけで、僕達はネヴァーランドを探して旅している。」
とリュネールが続ける。
「あなた達は私たち妖精と話ができる。
だからあなた達は国王リストワールの子供に間違いない。」 
ティニーが言う。
「確かなるアイデンティティです。」
「それは、岩を流れる水のごとく明らかな事実です。」
「明白なる事実なのであります。」
「も・ち・ろ・ん。も・ち・ち!
「その通り
「明らかに
「実は、このフェアリーランドはラルカン・シエル城の庭園なのです。」
とティニーが説明す
る。
「ここはフェアリーランドです。」
「その少年というのは、国王の従者です。」
「手に負えない我儘っ子だから、昔、このフェアリーランドから追放されたのです。」
「オーララ 自分の好き勝手なことばかりしているから。」
「アルテミスが真実を知っているはずです。」
「アルテミス? 誰れ?」 リュネールが尋ねる。
「詩の女神様です。」
「かのルテティアの都のマリアンヌ(国章)でもあります。」
「ぁは~ん、美女であります。」

8 – 4  近道

すると突然、フェアリーランドが暗くなった。
「雨が降ったかと思うと、今度は陽が照っている。へんなお天気。」 とソレールが言う。
「昨日の夜、父上が夢の中に現れて、お別れを告げた。」 とリュネールが言う。
「ラルカン・シエル城へ急ぐのです。」 とティニーが言う。
「でも以前、中に入れなかったから。」 とリュネールが言う。
「そういうわけで、僕達はここで妖精たち出会った。」 とソレールが言う。
「シャトーの入り口につながる近道まで私が案内してあげる。」 とティニーが言う。
15人の花の妖精たちが、ふたりを外へ導く。
「急いで
□□□□□「急いで
□□□□□□□□□□「急いで
「急いで
□□□□□「急いで
□□□□□□□□□□「急いで

8 – 5  国王の死

15人の花の妖精たちに導かれて、
ソレール と リュネールはシャトーの入り口に着いた。
暫くすると、辺りが暗くなった。
すると妖精たちも美しかった季節の花々も何も言わずに、
魔法のように姿を消してしまった。
「一体どうなるのだろう? 僕達。」 リュネールが一人つぶやく。

 


季節が 青春を 告げると   闇に 
つらなる オートバイの 
□□□響きと ともに いっせいに 
おしよせる38時間の 祝砲が 
□□□まだ 眠っている街を 驚かす

 

     
□□□□□魔法が とけて

□□□妖精たちが 地上に
□□□□□舞いおりると 

百年に 一度だけ 開かれるという
□□□□□□.扉が 
僕達を 冒険へ 誘惑する

薄氷  迷路パズル