PierrotsJumeaux007jp

5. バイソン(野牛)

5 – 1    見知らぬ動物たち


   

□□□北の海に 流星が 落ちて 
海を 渡る 大角鹿たちの 沈黙を 
突然 つきやぶる 

□□□南の海に 遊星が あらわれて 
挨拶を かわしあっていた 青猫たちが 
驚いて かおを あげる 

□□□□夏には まだ はやい 
□□□□そういう 平和な日 
海の彼方で 待つ友へ 
一篇の詩を 送りとどける
□□□□□.しろい 伝書鳩になって 
□□僕達は 飛びたつ

ソレール と リュネールはサーカスでは見たことがない様々な動物に出会った。
シャモア、カリブー、ブルー・キャット(青猫)、ビッグホーン(大角羊)。
どの動物たちも、ふたりに出会うと直ぐに逃げ去った。中には危険な動物たちもいた。
「仲良しだったサーカスの動物たちに会いたいよ。」

 

すると 一羽の 鳥が 飛ぶ 

□□□□□□□□.蒸気船で たどる 
□□マリン・ブルーの思い出は
とりもどすには 余りに 遠いと 
□□シャモアが 身を よじって 嘆く 

□□□逃げても  逃げても
□□□□□.追いかけてくる 
□□□追いかけても   追いかけても
□□□□□.みうしなう    決して
つかまえることは できなかった 君は 
僕達の青春  かがやかしい日々   
□□□僕達の ゆくてに 現われては 
消える 君の名前は  JEUNESS
□□青春・・・ 僕達の こ ・ い ・ び ・ と

 


ある日   それは よく 晴れた
□□□□□□□ある日のことだった
ビッグ・ホーンの群に 導かれて*
□□□□□□□.僕達は 山を 越えた

*ロッキー山脈羊

□□□

象の 背中に 揺られて アルプスを
越えれば そこは もう 僕達が
よく 知っている アドリアの海

5 – 2    友愛

ある日のこと、
ふたりは道の向こう側から、ゆっくりとやって来た栗色のバイソンに出会った。
さわやかな音色の鈴を首にぶら下げていた。          すっかり仲良くなって、
鈴音と伴に、バイソンと一緒にネヴァーランドへの道を辿ることに決めた。
リュネールは疲れると、ライカの背に乗った。
夜はライカの大きな体の傍ら星空を仰ぎながら眠りについた。
生きる喜びを互いに味わいながら、
こうやって皆でのどかで楽しい旅を続けることができた。
時としてソレール と リュネールは、旅の目的をすっかり忘れて道草を食ってしまった。



□□
□□花色した 野牛(バイソン)を ひきつれて 

妖精たちが ロッキーに 降りたった 
すばらしい日  川は 西へ 流れ 
□□□□□□□□冒険物語を 
たずさえた スーパー・スター達が
目にも とまらぬ すばやさで 
□□□□□.眠っていた 谷間から
□□□□□□□□□□飛びたつ

「でたらめの詩を唄っている 君はご機嫌がいいね。」 とソレール。

      誰れ    高らかな 
ギャロップと ともに やってくるのは 
誰れ

「勿論、カウボーイがやって来るのさ。」 すかさずソレールが答える。

□□□

 

□□□□
海からの風が 教えてくれる  幸福に
身を ゆだね    待ちこがれた
□□□□早春の まぶしさを 歌おう

「見て! マ・ジェニィだ、あれは」 リュネールが叫ぶ。
「本当だ! 他の鳥と一緒に夏の空を飛んでいるよ。」
ソレールも喜んで飛び上がる。
「あの鳥はマ・ジェニィの花嫁だと思う?」 リュネールが尋ねる。
「分からない。でも、二羽で飛ぶとファンタスティクだね。」 ソレールが答える。

 

花嫁を 連れた  僕達の マ・ジェニィが 
真夏の大空を  渡っていく

(木版画)

5 – 3    春の小川

「ネヴァーランドはどこにあるのだろう?」 とソレール。
だいたい、ネヴァー・ネヴァーランドなんて本当に在るの?
サーカスに帰りたい。もう道を辿るのは嫌だ。」 
リュネールが後悔して頭を振る。
「もうサーカスに戻ることはできないよ。不可能だ。」 とソレール。
「どうする?もう二百年も経ったような気がする。
ネヴァーランドはまだ遠いよ。 どうする。」 
リュネールが呟く。

ふたり
とも、黙って地面に座り込んでしまった。   沈黙。

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半ば夢の中で
「父上、僕達は哲学者、ジャン・ポール・サルトルに出会ったよ。」
「私の子供達はかわいいから、そういうこともあるだろう。」
「草原に戻ると哲学者に約束した。また会いたい。」 リュネールが泣きじゃくる。

「私はもう歳をとった。お前さん達も、もう子供ではない。
私のために唄ってくれるか。」
リュネールはお気に入りの詩を唄う。
何と美しい詩だろう。あの世へ旅立つのに良い思い出だ。」
「そんな悲しいこと言わないで。」

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「国王の子であると証明するものは何もないけれど、
国王の子ではないと証明するものもまた何もない、
この意味分かる?」 
突然ソレールが言い出す。
「え?なに?何を言いたいの?」 リュネールが尋ねる。
「ネヴァーランドなんて存在しないという証拠は何もないよ。」 ソレールが繰り返す。
「まさにその通り。君は賢い。今日は賢いね、ホントホント。」 リュネールが言う。
「今日だけ? 褒めてるつもり?」 とソレール。
こうやって、ふたりは父上に会うために元気に再び出発した。
「お城に着くまでに、まだまだ道のりがあるの?」 リュネールが尋ねる。
ふたりをネヴァーランドへ導いてくれていたメルベユーの大鷲、
マ・ジェニィの姿は灰色がかった空の何処にも見えない。
「朝早く、出発する?」 リュネールが尋ねる。
「天気次第だよ。」 ソレールが答える。
「日差しが恋しくなる


 
決して 近づくことはできない 
異国の鳥 マ・ジェニィ



□□□□□□無敵を 誇る 一羽の 
オオワシが いのち知らずの 勇気で 
異国の空を 自由に 飛びまわった 
□□□□□.青春の日々を 遥か 
□□□□..遠くに 激しく 懐かしむ 
素晴しく  時として 厳しかった 
冒険の数々を 想いおこして  再び 
翼を ひろげ もう一度  風を 呼ぶ 

□□□□光なのか 闇なのか 
どこへ向かって 飛ぶのか   
□□□MERVEILLEURの鳥 黙って 
海を みつめている 
トドの海に 冬の風 舞い        
□□□□□□□□冬の波 散る


 
□□ふりむけば 過ぎた日々 
遥かな 道のり   さすらう 僕達 
つづくよ 僕達の旅   はてしない

長閑  迷路パズル