7. 城
7 – 1 城の入り口
空はすっかり晴れ上がった。
城の入り口に辿り着いて扉を見つけようと、あちこち探し回ったが無駄だった。
この城には、扉が全くなかった。
「驚きだ。がっかりさせないでくれ。」 とソレール。
「むしろ不可解。どうすればいいの?」 とリュネール。
「どうしようもない。マドモアゼル達、入り口の扉を教えていただけませんか?
扉はどこですか?」 とソレールが、お喋りな鳥たちに尋ねる。
「雲の上!」
「雲の上!」
「雲の上!」 と鳥達が大合唱する。
「雲の上!!!」
「小さいけど、これがネヴァーランド城に間違いない。確かだよ。」 とソレール。
「やっと、着いたね。僕達ふたりで。」 リュネールが安心する。
めくるめく星 きらめく光彩
□□□詩(うた)だけが 道連れの 僕達に
どれほどの月日が 流れたことか
□□□.教えてよ 教えてよ
お喋りな 鳥さん達 教えてよ
NEVER-NEVER LAND への
□□□□□□□□.道を教えてよ
7 – 2 国王
扉を探しても無駄だと分かり、
ふたりともシャトーの入り口正面にあぐらをかいて座り込んだ。
「やっと辿り着いたのに、シャトーの中へ入ることができない・・・・・・」
ソレール と リュネールは誰かの耳に届くよう願いながら詩を唄い始める。
□厳しい 冬の夜 オリオンは
□□□□.僕達のヒーロー
太陽に 最も 近い国へ 行こうと
僕達に 語った みあげれば
ブルー・グレィに かがやく 摩天楼
□ラスト・スパートを かける 僕達に
確かに きこえる 今だ 走れ!
陽が沈むと、お喋りな鳥達は、それぞれの家路を急いだ。
「サーカスを出発してからは、僕達には帰る家がない。」 リュネールは寂しそう。
「だから何だって言うの? ここで寝ればいいよ。」 とソレール。
「ライカがもういない。」 とリュネール。
「いつでもいるよ、思い出の中に。心にある大切な宝物。」 ソレールが呟く。
「寂しいと思うのは、私だけではないのだ。」 リュネールが呟く。
□金の首輪を ひからせた 野牛(バイソン)が
遥か アテーナイの都市に 刻まれた
幸福の約束を 想いおこして
□□□□□□□□□頭を もたげる
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半ば夢の中で
「質問があります。 あなたが、シャトーの国王ですか?
僕達の父上は偉い人なのですか? 僕達は国王の子供なのですか?」
とソレールが尋ねる。
何故か父上は大声で笑い出し、それからソレールに尋ねた。
「お前さん達にとって幸福とは何だろう?」
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7 – 3 庭園で
翌日のこと、お城から少し離れた処に、
あたり一面に花々が咲き乱れる美しい庭園を見つけた。
「あそこで遊ぼう。」
「見て! 桜が咲いている。」
ソレール と リュネールは大喜びで駆け寄った。
□□□.風に のせて
□□□□□.ちぎれて
□□□.言葉に よせて
□□□□□.流されて
優しい人 誰か やさしい人
□□□□□□□□唄ってよ 僕達の詩(うた)
風となって ひきさかれるまでに
波となって 砕け散るまでに
詩(うた)となって
□海の彼方の大陸(くに)へ とどくまでに
おどってよ ピエロさん
□□いつものように 僕達の詩(うた)
囲碁:01